USCPAがやじやじしてる

氷河期世代のUSCPAがうだうだと語ります。受かっているから言いたい放題。只今監査法人勤務中。監査法人で働くUSCPA仲間を増やしたい!!USCPA仲間大集合!!

USCPA AUDのAICPA Released Questionsを実務面から解説

試験前になると必ず解くのがAICPA Released Questions。

私も受験生の時はできないところを訳も分からず丸暗記して覚えこんでいたものですが、いざ会計士として監査法人で働き出してこれらがどれ位生かされているのかと言うのは気になるところ。

そこで今回はAUDのAICPA Released Questionsを実務面でのコラムを付けて解説します。AICPA Released Questionsは最新のものは予備校からしか提供されないので、今回はWebで見つけたFree downloadできるものの中で一番新しいものであった2016年度のものを利用しています。

予備校のマテリアルに載ってそうなガチな解説とはまたちょっと違った視点(ぼやきとかも入ってますが・苦笑)で書いてますので勉強の休憩時間にでも眺めてみて下さい。監査法人に行きたい人はAUDの問題が実務とどう絡むのか想像したりすると覚えやすいかも。

正解については青地で塗ってますので一応チェックしてみてくださいね。

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AICPA Released Questionsを実務的な側面で解説

いきなり見慣れない問題からスタートしてます

Which of the following procedures is an accountant required to perform before issuing a compilation report under Statements on Standards for Accounting and Review Services (SSARS)?

a. Make inquiries of third parties regarding liabilities that appear in the financial statements.
b. Read the financial statements and consider whether such financial statements appear to be free from obvious material errors.
c. Obtain a letter supporting management representations in the financial statements.
d. Review account balances for material changes subsequent to the year end.
出典:2016 AICPA Released question AUD #1

いきなりやったことない業務についての問題です。SSARS(*1)って。。。

いくらUSCPAと言えど、日本の監査法人で働いているとPCAOB基準以外のUSの監査基準って全然聞かないしってことで、早くも企画倒れの匂いもしてくるのですが(苦笑)。

compilation(調整業務)って監査チームというよりはアドバイザリーチーム的な人たちがやっているイメージ。アドバイザリーの人がクライアント先に行ってクライアントの代わりに財務諸表を作る的な。監査ではないですね。監査チームの人間からするとそんなに一般的ではないから知らないって人も多いエリア。

ただ、何はともあれ成果物である財務諸表についてはレポートを出す前にきちんと読んで明らかな間違い等がないことを確認する必要があります。これは仕事としては当たり前。クライアントに出す商品に間違いなんてあってはいけないものなのでパートナーやマネージャーが相当に目を光らせてますよ(笑)。ってことで答えはbなのです。難しいことを問われているように思うけど実は当たり前のことが正解なのです。

ちなみにd.の勘定残高の比較については監査やレビュー(日本の監査法人だと上場会社の四半期レビューとか)の完了段階で必ずやる手続きです。

(*1) SSARSは会計及びレビュー業務に関する基準のこと

全部似てるように見えるけど、、、

Which of the following engagements may an accountant or practitioner perform when there is a lack of independence?

a. Compilation.
b. Agreed-upon procedures.
c. Review.
d. Attestation.
出典:2016 AICPA Released question AUD #2

選択肢はどれも似ているように見えるけど、これらは監査系とアドバイザリー系のサービスで分けられます。

Agreed-upon procedures(我々はAUPってよく呼んでます)、レビュー、証明業務は監査チームが行う保証系(いわゆる監査っぽい)サービスで、Compilation(調整業務)はさっきも言った通りアドバイザリーチームが行うサービスのイメージ。

やっぱ保証系の業務は独立性が重要でしょってことで、独立性が損なわれてもできなくはない正解はaのcompilation。

マネージャーが大好きな言葉です

Which of the following ultimately determines the sufficiency and appropriateness of audit evidence to support the auditor's conclusions?

a. Professional requirements.
b. Professional standards.
c. Professional experience.
d. Professional judgment.
出典:2016 AICPA Released question AUD #3

監査で入手したエビデンスについてそれが十分で適切かどうかはProfessional judgmentで自分で判断してねという定型文的な問題。答えは当然d。

これはマネージャーが大好きな言葉なのです。

ミーティングとかで話すネタがなくなると結構これを言ってくる率高し。

また監査手続をやってて質問をした時なんかにも『そこはProfessional judgmentでしょ』っとつれない返事が一言返ってくることも。そんなこと言われても最初のころは何のことか分からないし(苦笑)。

上の人からしたら色々と都合よく使えるマジックワードなのです(笑)。Professional judgmentが何なのかは監査法人に入って体で覚えましょう

ちなみにJCPAもこの単語だけはなぜか英語で言ってきたりします。似たような言葉に『職業的懐疑心(Professional skepticism)』って言葉もあってこれまたマネージャー好みのワードなのですが、これはなぜか『職業的懐疑心を持って業務に当たって下さい』みたいな感じで日本語で言ってきます。監査法人あるあるです。

監査法人1年目から使う知識だよ

Which of the following assertions is most closely related to the audit objective to verify that all sales have been recorded?

a. Completeness.
b. Occurrence.
c. Accuracy.
d. Cutoff.
出典:2016 AICPA Released question AUD #4

これは監査法人に入って即役に立つ知識です。1年目から使うよ

答えはa.のCompleteness。クライアントからもらうデータについては必ず網羅性を確認しないといけません。テストに使う各種データについてどうやって網羅性を確認したかは調書に書く必要あり。

確認の方法は勘定残高と一致しているのをチェックするのが最もベーシックな方法。これをちゃんとやっているか主査やマネージャーは口を酸っぱくして言ってきますよ。気をつけろ!!

これは概念的な問題ですね

Which of the following best identifies the effect of an increase in the risk of material misstatement on detection risk and the extent of substantive procedures?

a. The acceptable level of detection risk decreases, and the extent of substantive procedures increases.
b. The acceptable level of detection risk increases, and the extent of substantive procedures increases.
c. The acceptable level of detection risk decreases, and the extent of substantive procedures decreases.
d. The acceptable level of detection risk increases, and the extent of substantive procedures decreases.
出典:2016 AICPA Released question AUD #5

これは手続き云々と言うよりは監査の概念的な問題。

重要な虚偽表示リスク(risk of material misstatement)と発見リスクは反比例の関係。こういうのはなんか抽象的で分かりにくいですよね。

で、この場合は重要な虚偽表示リスクが上がったという事はそれだけ発見リスクは下がり、その場合は実証手続(Vouchingとか棚卸立会とか確認状発送とか)の手続きの範囲も広がり、それぞれのサンプル数も多めにたくさんテストをしないといけないと言う訳。

受験生の時はこの辺の概念って分かったような分からなかったような感じでしたね。監査をしだして(と言うか主査をやりだして監査計画を立てるようになって)ようやく分かってきた概念です。最初はそんなこと分かんないし主査に言われるがままの件数をテストしていくものなので全然理解できてなくても大丈夫。

これも1年目から使います

Which of the following is an analytical procedure?

a. Comparing current-year balances to prior-year balances.
b. Matching sales invoices to shipping documents.
c. Confirming accounts receivable.
d. Making inquiries of client management.
出典:2016 AICPA Released question AUD #6

この選択肢はいずれも1年目から使うものばかり。答えはaの今年と去年の残高比較。これは何となく分かりやすい問題ですね。

ついでに言うとただ比較するだけではダメで、増減の理由は必ず会社に聞いてその増減が異常な増減なのかをそうでないのかを確認すべし。その辺をちゃんとやらないと調書をレビューする主査やマネージャーに怒られるよ(笑)。

ちなみにbは売上のテストの時に実在性を確認するのに使う方法、cは売掛金等の残高の実在性を確認するのに使う方法、dは単なる質問でレビューや内部統制監査でよく使う手法です。

監査法人で働きたい人はこういった部分は入所して最初の研修でもみっちり教えてくれるものですが、テストの手法についてはしっかり覚えておくと最初の段階からスムーズに仕事についていけます!

内部統制がらみのワークってつまんないよ

An entity has an internal audit staff that the independent auditor assessed to be both competent and objective. Which of the following statements is correct about the independent auditor's use of the internal auditors to provide direct assistance in performing tests of controls?

a. The auditor cannot rely on any of the work of the internal auditors.
b. The internal auditors should not be performing any audit procedures that the auditor is able to perform.
c. The auditor can use internal auditors to assess control risk, but cannot rely on their tests of controls.
d. The auditor should supervise, review, evaluate, and test the work performed by the internal auditors.
出典:2016 AICPA Released question AUD #7

内部統制の運用テスト(tests of controls)は基本的には普通の実証手続みたいに監査チーム側でサンプルを決めて、会社の統制がちゃんと働いているのかを普通にテストするものなのですが、会社に内部監査人がいる場合は彼らのテスト結果に依拠することができる場合があります(つまり一からテストしなくていいってこと)。

外資系企業のクライアントで親会社の内部監査人がテストをしていてその結果を利用するなど割とよく出てくるケースです。

そんなクライアントに出くわした貴方はそこそこラッキー。

内部統制がらみの手続きってひたすら承認を確認する系のむなしい作業が続くだけなので、正直個人的には結構面白みを感じなくて好きではないのですがこういったことが出来るクライアントだと割と嬉しくなります。年次が低いうちはそんなことばっかりやってます。

もちろん依拠をするにも条件はあるわけで(問題文にもassessed to be both competent and objectiveとありますね)、監査法人側はただ結果に依拠するだけではダメで会社の内部監査人の作業については必ず自分たちでも評価をしないといけないのです。なので答えはd。それでも実務的にはこっちの方が断然ラクです。

新規クライアント獲得なんて偉い人の仕事だし。。。

Which of the following activities would be most helpful to a CPA in deciding whether to accept a new audit client?

a. Reviewing industry benchmarking data.
b. Considering the client's compensation methods.
c. Evaluating the CPA's ability to properly service the client.
d. Evaluating the most recent peer review of the client's previous auditor.
出典:2016 AICPA Released question AUD #8

これは問題集でそこそこ見たことありそうなクライアントとの契約に関する問題。

新規クライアント獲得なんて上級の管理職の仕事だし、ぶっちゃけ下っ端には関係ありません

答えはcで要は自分たちが新規クライアントの監査をちゃんとできるか見極めてから獲得しましょうってことなのですが、基本的に大手の監査法人はそれなりの品質を揃えているし、できない訳ないじゃんって感じですよね。

強いて言えば人手不足のこのご時世なのでリソースが足りているかってところが懸念点になるのでしょうか。USCPA受験生の皆様の入所をお待ちしております!!

こういう問題ばかりだといいのに

Which of the following statements correctly describes the "top-down approach" used during an audit of internal control over financial reporting?

a. Begin reviewing balance sheet accounts and then review income statement accounts.
b. Begin reviewing income statement accounts and then review balance sheet accounts.
c. Begin by understanding the overall risks to internal control over financial reporting at the financial statement level.
d. Begin by understanding the overall risks to internal control over financial reporting at the general ledger level.
出典:2016 AICPA Released question AUD #9

こういった言葉の定義を聞いてくる問題って結構答えやすいので受験生の時は好きでした。

AUDってなんか抽象的な概念を問う問題が多くて勉強を始めた当初は概念が掴めず苦戦してたので、こういう問題ばかりだといいのにとよく思ってました(笑)。

答えはcで全体の財務諸表レベルで見てからヤバそうな勘定科目とかに注目していく感じ。監査計画を作る時はそういった大きなエリアから徐々に細かいレベルに落としていって作るのが一般的です。これは主査位になるとやっぱり体で分かってくる概念かと。

あまり事務所で聞かない手続きです

Each of the following items should be included in a presentation of pro forma financial statements, except

a. The significant assumptions used in developing the pro forma information.
b. The source of the historical information on which the pro forma information is based.
c. An indication that the pro forma information is not necessarily indicative of results..
d. All direct and indirect effects attributed to the related transaction.
出典:2016 AICPA Released question AUD #10

見積財務諸表(pro forma financial statements)の証明についての問題。

監査法人で働く普通の会計士的には全然一般的な業務ではありません。私ももちろんやったことがありません。。。

監査法人は見積財務諸表についてレビューを行うことがあるのですが、大事なのは作成元となったベースとなる財務諸表についてそもそも監査されていることと、あくまでも見積もりで作った数字なので見積もりについてもきちんと伝える点と、仮定の部分については監査チーム側でもしっかりレビューをしてるベストな見積もりではあるものの、実際の結果については見積もり通りに行かないことを伝える点。

ってことで答えはそうではないdになるのですが、やっぱり理解には時間がかかりますよね。

こういった内容はあまり考えすぎず丸暗記してしまうのが一番手っ取り早く合格するためのコツですよ。

これでようやく10問終了

AICPA Released Questionsって1年分が50問あるのにようやく10問が完了。まだまだ先は長い。。

無味乾燥的に見える試験問題も実務と照らし合わせてみると、それが日本の監査法人で働くUSCPA的に一般的なことなのかそうでないのかがよく分かってきます。

この10問だけでも調整(compilation)に見積財務諸表に対する証明と、一般事業会社向けの監査を行う普通な90%の会計士からするとイレギュラーな手続きがいくらか出題されてましたね。

我々が普段やるのは監査とレビュー(たまにAUPも)。その他の証明業務については自分から手を上げないか、親しくしている上の方から声をかけられない限りあまりやる機会がないものです。まさに試験問題って感じがします(笑)。

まだ残り40問もありますのでこのシリーズは定期的に書いていきますね。第2弾を乞うご期待です!!

4/2追記:第2弾公開しました。よろしければご覧下さい。

www.uscpayajiyaji.com