USCPAがやじやじしてる

氷河期世代のUSCPAがうだうだと語ります。受かっているから言いたい放題。監査法人で勤めた後に只今事業会社で勤務中。監査法人で働くUSCPA仲間を増やしたい!!USCPA仲間大集合!!

USCPA AUDのAICPA Released Questionsを実務面から解説 #2

試験勉強で学んだことが監査の現場で実際どれだけ使われているのかを検証したいこのシリーズの第2弾。

USCPAブロガーとして監査法人で働くUSCPAらしいネタを常に求めているのですが、こういった内容はちょっとそれっぽいなと手前味噌ですが面白みを感じてます。

個人的には記事にしていると自分自身の勉強にもなっていいなと思ったりもしてます。

今回は2016年のAICPA Released Questionsを11番~15番までの5問を解説。

解説と言うよりはやっぱり日々のぼやきなんかが入ってくるのですが。真面目な受験生の皆様はネタ帳的な感じで勉強の息抜きに使ってください。間違っても(そんなことしないでしょうが)勉強のマテリアルとしては見ないでね(苦笑)。

前回の分については以下をご覧下さい。

www.uscpayajiyaji.com

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今回もAICPA Released Questionsを実務的な側面で大解説

compilation(調整業務)はこの年よく出題されたのか??

What standards are applicable for a compilation of a nonissuer?

a. Statements on Auditing Standards (SAS).
b. Statements on Standards for Accounting and Review Services (SSARS).
c. Statements on Standards for Attestation Engagements (SSAE).
d. Generally accepted auditing standards (GAAS).
出典:2016 AICPA Released question AUD #11

またしてもcompilation(調整業務)についての問題です。

2016年のAICPA released questionはこのcompilationのように監査以外の証明やサービスがよく聞かれてますね。

ただこれはその場合どの基準を使うのかとストレートに聞いている問題なので覚えていれば楽勝な問題です。答えはbのSSARS。

SASはそれぞれ非公開会社に対しての監査基準。ちなみに対になる公開会社に対しての監査基準はPCAOB基準。日本の監査法人でUSがらみの監査をする場合は基本的にはこのPCAOB基準しか使わない感じ。

GAASはSASの元となった憲法的な立ち位置で実務的にはこれを使って何かってのはないですね。

そして最後にSSAE。これは実は監査実務でもよく聞くワード。監査法人に勤めたい人は頭の片隅に入れておくことをオススメします。

クライアントが外注して何か作業を依頼している場合に(例えばロジスティクス用の倉庫を運送会社から借りて、運送会社に商品の出荷とかを委託している場合)、その外注部分の内部統制とかについて我々が直接検証に行けない場合にこのSSAEの証明レポート(SSAE 18レポートなんて呼んでます)がある場合はそれをもらって監査上心証を得る的な流れ。

我々が証明をするってことはそこまで聞いたことないけど、なぜかSSAE18レポートを貰うってのは意外とよくあったりするのです。じゃあ誰がそれを証明しているんだろうって矛盾もあるけどそんな感じ(笑)。私が知らないだけで誰かが実はやっているものなのでしょうね。

マネージャー好みのパワーワード来ました!!

An auditor of a nonissuer exercising professional skepticism with respect to the risks of material misstatement due to fraud will most appropriately

a. Adopt an attitude of acceptance unless evidence indicates otherwise.
b. Authenticate documents used as audit evidence.
c. Consider the reliability of information to be used as audit evidence.
d. Assess the entity's document-retention controls before using documents as audit evidence.
出典:2016 AICPA Released question AUD #12

どの業界も同じ感じだと思うけどこの業界もやっぱりマネージャーの方が好むワードがいくつかあったりします。

その中で前回は『Professional judgement』と『Professional skepticism』をご紹介したのですが、今回は正にそのprofessional skepticism(職業的懐疑心)についての問題です。

職業的懐疑心って要は会社の言う事を鵜呑みにしないってことです。なので答えはc。

年次が低い時の内部統制の手続きはこれが9割!!

If an auditor of an issuer examines purchase orders obtained from the issuer to verify proper authorization of transactions, then the auditor is conducting

a. A reperformance.
b. A confirmation.
c. An observation.
d. An inspection.
出典:2016 AICPA Released question AUD #13

内部統制テストについての具体的な手続きについて。

テキストには色々と載っているけど、年次が低いうちに実際には現場に出てやるのは9割がinspection(検証)

承認が入っている資料をもらってその資料を見てちゃんと承認が入っているかを検証します。

後は相当に頻度が下がってreperformance(再実施)とobservation(立会)位かな。会社の内部統制は勉強中にイメージするより相当に数が多いものなので一つづつreperformanceするなんてのは現実的でないし、observationに至っては棚卸立会位しかないはず。

ちなみにこの問題も答えはdのinspection。資料をもらってチェックするのは大体inspectionです。

この辺は1年目から普通にやる作業内容です。これだけちゃんとイメージできてれば現場に出ても大丈夫!!

見つけた側も気を揉む問題なのです

In a financial statement audit of a nonissuer, an auditor would consider a judgmental misstatement to be a misstatement that

a. Involves an estimate.
b. Exists because of nonstatistical sampling performed by the auditor.
c. Arises from a flaw in the accounting system.
d. Arises from a routine calculation.
出典:2016 AICPA Released question AUD #14

誰もが気を揉むmisstatement(虚偽報告)について。

監査をやっていると当然チェックしていく過程で会社の誤りを見つけて指摘したり、余程の内容の場合は最後の監査報告書に指摘事項として記載をして報告をしたりすることはよくあります。

スタッフ時代は間違いを見つけても主査やせいぜい会社の担当者に伝えれば大体解決するものですが、主査をやりだすとそういう訳にもいかず、さらに上のマネージャーや会社側のそこそこ偉い管理職の方に伝えていって監査的ににどう落としどころを付けていくのかを考えたりすしないといけないもの。

内容によっては当然会社とも相当に揉めたりするし、監査チーム内もおいてもパートナーやマネージャーに説明するのにやっぱり気を使うし、、、とあまりありがたくないシチュエーションです。

こういったことをスマートにさばける人はデキる人として自然と周りから尊敬されていきます。正直憧れます。

ちなみにマネージャー等の上の方については厳しい監査業界で長年生き残れる百戦錬磨の猛者達なだけあって、このようなイレギュラーなことを楽しんでいる感がすごくあります。すごいです。これって業界で残るには必須な要素です。

そこまで監査業界に対していろいろな意味でコミットできていない私は常に『何も起こりませんように』と心の中で祈りながら仕事をしてますが(苦笑)、もちろんそんな都合よく行くわけもなく無情にも何かしら見つかるものです。はぁ。。。

で、どんな場合にmisstatementが起こりやすいかというと、一般的には貸倒引当金や減損損失の様に見積計算で算出されるエリアで比較的多く発生します。仮定に基づいて計算したものってのは会計基準の解釈の違いやそもそも仮定が正しいのかと言った点とかで間違いやすそうですよね。

そういった間違いをjudgmental misstatementと言うのです。なので答えはa。

見積もりエリアについては間違いが起こりにくいのでそれだけマネージャーや場合によってはパートナーも目をギラつかせながら監査調書のレビューをしてきます。要注意エリアです!!

ノンネイティブだから分かりにくいのか

Which of the following statements is correct with respect to fraud encountered during an audit engagement of a nonissuer?

a. The distinguishing factor between fraud and error is the materiality of the transaction involved.
b. An auditor who initially detects fraud ultimately makes the legal determination of whether fraud has actually occurred.
c. Fraudulent financial reporting can include the unintentional misstatement of amounts or disclosures in financial statements.
d. It is often difficult to detect fraudulent intent in matters involving accounting estimates and the application of accounting principles.
出典:2016 AICPA Released question AUD #15

監査中に不正に出くわしたらと言う問題。なのですが、、、

この問題については正直分かりにくいです。答えを先に言うとdが正解で、見積りや会計方針の適用について不正の意図があるかどうか検出するのが難しいという話。

日本語的に考えると『監査中に不正に出くわしたら』と聞かれたらそのレスポンスとして『xxxxxします』的な答え方をしたくなるものですよね。だって会話としておかしいじゃんみたいな感じ(まあ、これは問題であって会話ではないのですが)。

このような選択肢と質問文が直接結びつかないような気がする問題については私は受験生のころ最後まで苦手としてました。

個人的にはノンネイティブだからしょうがないと考えて開き直ってたことを覚えてます。英語力の高い方はきっとすんなり理解できるんだろうなあ。

こういう時こそ解説を見て一つづつ理解して納得するしかないですね。

ここまでで15問終了

前回10問を一気に見たのですが反省点として記事が長すぎて読みづらかったので今回から5問ずつにしてみました(5問にすると今回は内容が薄く見えるかもと心配もありますが・苦笑)。

全部で50問だからあと35問。ゴールまでまだ遠いですがこまめにこのシリーズも更新していきたいものです。

そしてAUDについて思うことは今でこそ監査を仕事にしているからこそ(ある程度)納得して問題を読めるものですが、やっぱり監査経験がない場合は最初はコツをつかむのが難しいだろうなとすごく感じます。

他の科目に比べて時間がかかるのは普通のことですのでAUDが苦手と言う方は焦らず繰り返し問題を解くことで慣れて行ってくださいね。

ブレイクスルーする瞬間が他の科目に比べて遅いだけで最後は必ず合格レベルに到達しますよ。