USCPAは英語で行われる試験なので日本人が受験した際にはどうしても英語力の面でハンディを負っているのは否めない事実。その為日本人のUSCPA合格率を見た場合にどうしても全体の合格率より低くなってしまうのは当然です。
ただ、日本人の合格率が低いのは実はそれ以外にも理由があったりします。
それは日本人受験者が極端に弱い分野がいくつかあるということ。今回はそんな日本人が特に弱い分野についてご説明致します。受験者必見です。
日本人合格率については下記をご参照下さい。 www.uscpayajiyaji.com
弱点の把握ではNASBAが公表している試験結果データが役に立ちます
どうやってそんな日本人が特に弱い部分を把握するかと言うと、USCPA試験を管轄するNASBAが公表している試験結果データが役に立ちます。
この中のContent and Skill Areaの部分にて科目別、分野別でStronger及びComparableを取った人の%が表示されています。と言うことは、この%を比較することで容易に日本人が弱点とするところが分かるわけです。
Overall performance
日本受験者
各セクションの説明
出典:2014 Jurisdiction book
科目別日本人が特に弱点とする項目と対策
上記のデータをもとにOverall resultと日本人の結果を比較すると結構分かりやすい特徴が出てきます。
比較データは下記の通り。2014年のデータをもとに作成してますが年度によって日本人の出来、不出来がそう変わるものではないので現時点においてもある程度傾向が見えてくるものと考えられます。
日本人が苦手とするAUD、BECにおいては極端にOverall resultとの間に乖離がある項目が多々あることが見受けられます。それだけ日本人の出来が悪い点が相当にあるということです。
逆に言い換えればその部分に力を入れれば合格にぐっと近づけるということ。そこで科目別にそのジャンルを見ていきましょう。
AUDで日本人が特に力を入れるべき項目
AUDで日本人が特に力を入れるべき項目はProfessional Responsibility。
データを見た方はお分かりかと思いますが、極端に日本人の出来が悪い部分となります。この理由として私が思うのは予備校のテキストの説明及びMC問題不足であると個人的には考えております。
その他の監査の一連の流れや手続きに関する分野についてはある程度MCも準備されており問題集を回すことで基本的な理解は定着していくのですが、Professional Responsibilityについては若干手薄。
配点で言うと2割弱ある部分ですがそこまでMC問題は容易されておりません。また、私が受験した頃のアビタスのテキスト(第5版)を見返してみるとこの部分について記載しているのは全420ページ中、たったの26ページ程。そりゃあ手薄になるよねと言った感じです。
洋書を使っていない人にとってはここが抜けとなるのは当然です。
この部分については会計士としてあるべきルールを覚えておけばいいので、この部分についてはテキストを読み込んでおくことをオススメ致します。効率的に勉強するにはテキスト読み込みを進めないのですがMCの不備については仕方のないことと割り切りましょう。
ちなみにアビタスのテキストはProfessional ResponsibilityやEthicsなどルール的な部分の情報が薄いので少し注意しておいた方がいいです。
BECで日本人が特に力を入れるべき項目
Written communicationでのハンデが大きくのしかかるBEC。
やはりこの部分はOverall resultからも大きくかけ離れているのですが、Writingは短期間では上達しにくいこともありそこまで力を入れても得点を伸ばすことは厳しいです。
ちなみに国別データで見るとお隣の韓国のWritten communicationのStronger及びComparableを取った人の%を見てみるとなんと驚愕の40%台。言葉のハンデは日本人とほぼ同じである韓国人との差はどこにあるのかすごく興味深いです。予備校のマテリアルを見てみたいですよね。
それよりも力を入れておきたいのはCorporate GovernanceとInformation Technology。
この2項目もやっぱりアビタスのテキストでイマイチだなと思っていた分野。ポイントがまとまっている訳でなくただダラダラ書いているだけで、講義もITについては講師がまとまりもなく単語をひたすら読み上げているだけでした。はっきり言って『ここは暗記しましょう』と一言言ってくれればそれで十分なレベル。
対処法としては項目の暗記と洋書でのMC補完がが一番手っ取り早いです。
ちなみに私はBECについてはプロアクティブも使ったのですが、そちらの講義はストーリー的に体系だって説明していたのでイメージがつきやすいです。この分野についてはアビタスよりよく重点がまとまってました。
FARで日本人が特に力を入れるべき項目
数字に強い日本人が得意とするこの科目。この科目で特に力を入れるべき項目はSimulation。
FARで落ちる人は大体SIM演習が不足しているということです。
対策としてはすごく簡単で予備校が提供するSIM問題集をひたすら回せば大丈夫。MCが出来ればSIMも解けるなんて言われてますが、形式に慣れるためにもSIM問題集はきちんと解いておきましょう。
REGで日本人が特に力を入れるべき項目
税務で数字が出てくるということもありこちらも日本人にとってはまだなんとかなるREG。
この科目で力を入れておきたいのはEthics & Legal Responsibility。
AUDの>Professional Responsibilityと同様にアビタスのテキストが相当にPoorなエリアです。
配点がやはり20%弱ある割には咲いているページは2冊のREGテキスト併せてわずか25ページ程。私が本試験を受けてやたらと聞かれた申告書の提出期限等については文章でさらっと書かれている程度でした。
対策としてはケースごとに何日以内に出すなどのまとめを自分で作っておくこと。予備校を当てにしてはいけません。
SIMについても同様にEthics & Legal Responsibilityについて問われた際の演習不足が影響しているのでしょう。
逆に言うとREGはEthics & Legal Responsibilityに力を入れれば大丈夫と言うことです。
すごく有用なデータでしたね
今回このデータをまとめてみて思ったのですが、日本人の弱点が分かりやすいすごくいいデータでした。自分が受験生だった時にすごく欲しかったです。
そして今回分かったことは『予備校テキストで割いているページ数 ≠ 試験での得点配分』ではないという事。
AUDのProfessional Responsibilityにしろ、REGのEthics & Legal Responsibilityにしてもテキストの内容が薄いので軽く流してしまいがちですがそれでは実はダメだったということです。
試験を受けると落ちた場合のみPerformance reportにて自分の弱いところがどこなのか分かりますが、初回受験などで自分の立ち位置が分からない方は今回の記事を参考に勉強の補完をしてみてください。
それにしてもアビタスはテキストの網羅性が弱くてやばいですね。洋書で補完してて本当によかったと今更ながらに思います(笑)。