どんな職場でも必ず起こっているのがパワハラ。
私が勤めている監査業界でも当然ない訳がありません。どの法人も数千人の従業員を抱えているので、普通に起こってもおかしくないですよね。
ただ、どんなパワハラが起きやすいかってのはある程度傾向があったりするものなので、監査法人で起こりやすいパワハラがどんなものかを今回はご紹介いたします。
厚生労働省が定義するパワハラの分類別に見ていきます
実際に監査法人のパワハラ事情がどんな感じかってのを厚生労働省が定義する分類別に見ていきます。
ちなみに厚労省的にはパワハラは6つに分類されるとのこと。パワハラって感覚的には分かっているけど、こういった形ではっきりと見たことではなかったので結構興味深いです。
身体的な攻撃
監査法人ではこういった直接的なバイオレンスはほぼ起きません。みんなそんなに血の気が多くはないです(苦笑)。
昔は監査六法をスタッフに投げつけた人がいたってのがまことしやかに語り継がれている程度でしょうか。それくらい全く持って事務所内でDQNな行為を見ることはありません。六法の話だってある意味都市伝説みたいなもの。
どっちかというと言葉や態度で責めてくるやり方の方が主流です(なんの主流なんだか・苦笑)。
精神的な攻撃
これはどこの職場でも絶対あると思うし、当然監査法人でもあり。
上司から同僚の前で無能扱いする言葉を受けた経験なんて全然普通にあるし、他の人が言われてるのだってもちろん見たことあり。
前職で外資系経理マンをしてた頃はそんな光景を見たことがなかったので、監査法人はそんなカルチャーなんだなと思ってました。これは監査法人のみならず医者とか弁護士とかの能力を特に問われそうな専門職の職場ならどこでもありますしね。
ただ、普段からそんなことが起きているかというともちろんそうではなく、起きてもせいぜい繁忙期位なのでご心配なく。
繁忙期とかは現場を管理する主査やマネージャーの気が立ちやすい時期でもあるのでなんか起きてもおかしくないなって感じです。
そんなことをする人ってのは大体決まった人ですし、事務所のみんなも分かっているものなので、運悪くその人の担当するクライアントに当たったら気を付ければいいだけのこと。
言われても自分が本当に悪かった部分だけ客観的にとらえる以上のことはそこまで気にする必要もないし、むしろその後仲間内でその上司の悪口でも言っとけば対応としては完璧です(笑)。そういったことをする人ってのは大体他の人も嫌っているのでトーク的には結構盛り上がるよ。敵の敵は味方理論でむしろ仲間内の結束はさらに固まるはず。
ちなみに我々下っ端たちも結構強く、陰口系は飲み会のある意味定番ネタ。
一見そんなこと言わなそうな人だって陰口はしっかり言ってます。基本的に自分に自信がある気の強い人が多めの業界です。
チームで飲み会とかやると、ほぼ必ず『XXさん微妙』系の話が出てきます。ゴシップとかみんな大好き。
誰かにバレるリスクを取ってまでこういう話ができるのは、そこそこチームが結束している証拠でもあると思うけど。
ちょっと陰湿な環境っぽいけどその位はメンタルが強くないと勤まらないのが監査法人です。
それよりも激務からのうつ病の方がよっぽどヤバいので、監査法人で働くに当たってはそっちを気を付けるべし。大体の人が一度は必ず心が折れそうになる経験をしてます。
人間関係からの切り離し
これはあまり聞いたことがないです。
むしろ色々な人と繋がりをもって少しでも多くナレッジを引き出してくることを期待されてます。
ちなみにありがちな新人への指導の一つに『なかなかクライアントに質問できない新人に注意する』ってのがあります。
クライアントにも怖い人はもちろんいて、そんな人に似たような質問を重ねてしまうと怒られそうな気がして聞きづらくなるのは分かるけど、聞かないと作業はすすまないし、とにかく本人の背中を押すための注意です。それ位色々な人とコミュニケーション等を取ることを重要視する環境です。
そもそも1人が(超ビッグクライアントを担当していない限りは)複数社のクライアントを担当しているもので、アサインごとに人間関係も変わっていきます。
経理等の一般的な事務職と違って常時一緒にいるわけでもないのであまり人間関係で煮詰まるってことは少ない環境です。
なので仲間外れ系とかもあまり聞いたことがないですね。どんな相手に対しても当然大人な関係を保ってますし、そんなにみんな幼稚ではないと思う。
過大な要求
これもあまり聞いたことがないです。
監査ワークの場合は大体アサインされた期間でやるべき仕事のゴールが大体決まっているので、毎日の就業間際にいきなり何か新しいことを振られるってのはありません。
この辺はそれぞれのクライアントを担当する主査のプロジェクトマネジメント能力によってちょっと差は出てくる部分です。
ただ、そのゴールが相当に遠くにあるものだったりするので(四半期レビュー/期末監査をXX日までに終わらせるとか)、むしろその為に振られたタスクを(ある程度)きちんと達成するために残業をせざるを得なくなるって感じです。
タスクを振るにしても主査はそれぞれの人の年次や経験を頭の片隅に置いて決めていくものなので、本人の希望があったから年次と比べて少しチャレンジングなことをお願いすることがあっても、全く出来ないことをいきなり無茶ぶりをするってのはほとんどありません。
強いて言えば同じ期間に2社とかアサインが入ることはざらにあったりするので、そうなるとそもそも物理的に時間が足りなくなって残業することになるため仕事にうんざりすることはありますけどね。
仕事を抱えすぎて動けなくなる前に、無理なものは無理って言えるスタンスを持つことも大事ですよ。
過小な要求
監査職なのに倉庫整理などの専門外な単純ワークを必要以上に強要されるとかそういったことは全くないです。
監査業界で例えると、J1が担当する銀行確認状とかをひたすらやらせるような感じでしょうか。
この人手不足の時代にいじめで他の仕事をさせる程余裕はありません。そんなことをやるだけで許されるとか逆に最高です。
もちろん自分の年次より低いスタッフ向けのタスクをわざと振られるとかもありません(スタッフが取れなくて主査がやらざるを得なくなるとかは割とありますが)。
個人的にはむしろそんなぬるいワークで他の人と同じ給料がもらえるなら喜んでやりたい位です。1、2年位なら全然あり。
最近はどの法人もリソースが足りてないこともあり期中であっても疲れている人が多いため、むしろこんな仕打ちを受けても喜ぶ人も相当数いると思う。
ただ例外としてあまりに仕事ができない人やチームの輪を乱す人とかはどのチームからも呼ばれなくなって干されるってのはあります。これはパワハラというより本人の問題ですね。
個の侵害
有給の申請時で休みの理由を根掘り葉掘りしつこく聞かれるとか、プライバシーをやたら聞いてくるとかそういったことはないです。
有給の申請にしてもPC申請するものですし、与えられた仕事が滞ってなければ誰も気にしません。
人間関係は結構ドライなんじゃないかと思います。
日系企業にありがちな『従業員は家族』的な考えは当然ないですし。
大体傾向が分かってきましたよね
結局のとこと監査法人で起こりやすいのは精神的な攻撃位なものです。
そうなると対処法としては意外と単純で、一番ベストなのは『気にしないで適当に受け流すこと』。いわゆるスルースキルです。
もう一つ上げるとすれば『適当にストレスを吐き出すこと』も大事ですね。溜め込んではダメです。
真面目な人ほど言われたことを真摯に受け止めすぎて疲れていってしまいますので、少しは要領よく適当に振る舞うようにするとパワハラも回避しやすくなりますよ。
私も監査法人で勤めるようになってマイナスな感情の処理は結構うまくなりました。ついでに口も悪くなった気もします(笑)。