USCPA(米国公認会計士)試験を始めようと思ったら概要などを予備校のホームページで調べるのが普通なのですが、予備校のホームページにあるよくある質問の回答って普通は耳当たりの良いこととか書いてなくて何となく本質が掴めないなんてことがあるかと思います。
一番いいのはUSCPAの人に実際はどうなのか聞くことだけど、周りにそんな人なんていないし。。。って方も多いかと思います。
そこで今回は現役USCPAが予備校のホームページにあるよくある質問について本音ベースで答えてみます!!
資格について
USCPAという資格の将来性?
予備校のHPには『世界標準の会計知識を身につけられる』とか高尚なことを書いてるけど、USCPAホルダーの私としてはそんな意識は正直皆無。これまでのキャリアの延長線上で取得してます。
ただ、あまり意識が高くない私であっても会計分野での将来の目標は(一応)あるので、USCPAが目標の達成の大きな手助けをしてくれています。
将来性って漠然としてて答えにくいものではあるのですが、短期的な視点から見る資格の価値的には『(当分の間は)世間の平均以上の給料をもらえる仕事に就ける資格』というところでしょうか。当ブログでも何回も言ってるのですがコスパは本当にいいですよ。
たまにUSCPAなんて取るだけ無駄だとか、監査法人のUSCPAは使えないなんてつれないことを言う人もいますがそういった外部の声は気にしなくていいです。
USCPAが活躍できるフィールドは多いのは本当です。資格があるとチャンスが相当に広がります。
USCPAのキャリアアップについて
日本国内でも就職・転職に有利かどうか。
USCPAはアメリカの資格だから日本でも本当に使えるのかと言うのは心配になるかと思います。
結論としては結構有利に働きます。
履歴書やレジュメを一層輝かせてくれるのがこの資格です。
有利の度合いとしては職歴や年齢等のその人の属性にもよりますが、個人的に転職活動を行った時に感じた(案件が来た)順番を書くとこんな感じ。
監査法人(景気によるけど一番門戸が広い)>>外資系経理職>>日系経理職>>監査法人系コンサル>>>金融
監査法人については私の転職活動の時はそこまで門戸を開いてなかったのですが、今やどの法人も空前の採用ラッシュです。未経験者が飛びつくならここです。
いずれにせよ合格前の簿記2級だけ持っている経理マン時代よりは転職の幅は相当に広がりました。
監査法人、コンサル、金融なんて経理マン時代は絶対来ない案件だったし。海外の大学を出ていたり、同じ経理経験でも上場会社の経理経験があったりするとさらにプレミアムな感じになるのかもね。
USCPAがあれば会計関連の実務経験がなくても転職は可能か
資格は魔法の杖でないのだからそこまで都合のいい資格ではないです。
どこに転職するかによるけど、監査法人や監査法人系コンサルなら未経験でも入れる可能性があるのでは。
経理職の場合はどの会社であっても実務経験を一番重要視するのでUSCPAがあるからと言って実務経験なして経理職に就くのは簡単な道ではありません。これは日本の公認会計士試験でも同じこと。経理職で場合はマネージャー等のより高い職階に就くためのステップアップの道具としてUSCPAを利用するのがコスパのいい使い方です。
とりあえず経理職に就くのが目標なんだったら簿記2級を取って派遣社員から正社員を目指す方がゴールは早いです。
ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方も可能かどうか
USCPAであることと正直あまり関係ない質問のように見受けられます。
監査法人は働き方改革をどこもやってて残業を減らそうとしてるけど、それでも繁忙期は激務。
その分閑散期は有給を取りやすかったりしますので、そのタイミングでゆったりすることで少しはバランスを取っている部分はあるので、繁忙期だけ切り取ってブラックだとも言い難い感じです。
USCPAでワークライフバランスを重視したいのなら外資系経理職で働くのが現実的ではないかと。
そもそも会計系の職種でワークライフバランスを求めるのなら公認会計士や税理士を取って独立開業するのが最強だと思う。
採用面接時にライセンスの有無が問われることはあるか
ありません。合格しているだけで十分です。
CFOとか余程のポジションでない限り問われることはまずないし、勉強を始める最初の段階で気にしなくOK!!
ライセンスを持っていないと監査法人で働けないのでは
そんなことはないですよ。日本の会計士だって最初は合格実績だけで入所してきます。
っていうか、合格していない人だって監査法人で監査職に就くことが出来ますよ。
監査アシスタントなら科目合格をしてなくてもOK。アシスタントなので待遇はそこまで期待できないですが、勉強しながら監査の雰囲気を掴みたい人にとっては悪くない選択肢です。
今後のキャリアプランが未定のためライセンス取得を迷っている
世間には肩書に弱い人も一定数いるし、あるに越したことはないと言うのが本音です。
日本国内で働くに当たってはライセンスはなくても困ることはないけど、ライセンスがないと名刺に米国公認会計士と書けないので監査法人で働くなら取得しておいた方がいいですよ。
ライセンスの維持費ってそこまで高いものでもないですしね。
海外で働くなら自分のバックグラウンドを証明するためにも絶対取得すべし。
USCPA試験について
英語力に不安があるのですが
試験は英語で行われるのだから英語力はあった方がいいけど、なくてもミニマムで英検2級レベルの力があれば勉強を始められるレベルではないかと。問題文もそこまで難解でもないし、会計用語は勉強を続ければ自然と覚えてくるものです。
これってFAQsの中でも上位に入りそうな位あるあるな質問なのですが、英語力うんぬんというよりは自分自身がそもそも英語が好きかどうかを基準に決めたらいいのではないでしょうか。
いくらTOEICの点が高くても英語が嫌いだったらやっぱり勉強を続けるのは辛いものですし、逆に英検が2級しか持ってなくても英語や海外で働くことに強いあこがれを持っている人なら勉強をしていく中でどんどん吸収できるものです。
合格までに必要な学習時間数は
予備校は1,000時間とかいうけどこれは相当に怪しいです。これは鵜呑みにしてはいけません。
この1,000時間にしたって予備校が実施したアンケートにより算出した時間とのことだけど、そもそも合格者体験記を見る限りスタート段階で簿記2級以上の知識を持っていた人が7割位はいるし。
なので、そこそこ会計知識がある人達が合格にかかった時間の平均が約1,000時間であると見るのが正しいのではないかな。
簿記2級にしたって合格するのに一般的には2~300時間はかかるものなので、完全な初学者からスタートしたらその分時間は伸びて1,200~1,300時間は少なくともかかる計算となります。
もっと言うと、これはこのブログにコメントを頂いて私も気づかされたのですが、予備校は新試験形式対策にかかる時間というのを考慮していないように見受けられますね。
私が受験してた時もやっぱり予備校は1,000時間を目安にと言ってたのですが、今は当時に比べてTBS(Task Based Simulation - いわば総合問題)の比重も上がっており、昔はTBSが導入されてなかったBECにも導入されたりと試験はよりハードになったため対策にも昔より時間がかかることは明白です。
ですのでその対策もやはり時間がかかることを考えると、先程述べた時間に新形式対策の時間を加えて1,500時間程かかってもおかしくはないと見ておいたほうが精神衛生上いいですよ。
ちなみにネイティブであるアメリカ人が合格までにかかる時間は約300時間程。言葉の壁って相当に大きいのですね。これはアメリカの予備校のHPに書いてある目安の時間なのですが、なんか怪しく見えますね(笑)。
独学は可能かどうか
無理とは言わないけど予備校を利用するケースと比べて相当に時間がかかることを覚悟しておくべし。
どうしても独学でやりたいというのならまずは1科目やってみていけそうか見極めてみるのも手です。
もしくは、さらに事前段階としてBATIC(国際会計検定)に挑戦して英文会計(BATICはIFRSだけど)の勉強を独学でやれるか試すのも悪くはありません。
予備校代は安くないけど払っただけの価値は絶対にあるものなので、出来れば予備校を利用するのが一番ラクな合格への方法です。
コンピュータ試験対策は必要か
これは謎質問。パソコンを使ったことがない人が質問したのでしょうか(苦笑)。
USCPA試験はコンピュータに回答する試験ではありますが試験に向けての対策とか皆無です。
試験の実施や資格認定の監督機関である米国公認会計士協会(AICPA)のサイトでチュートリアルを受ければ十分。
日商簿記2級を取得済でUSCPAを目指す上で簿記を学習したことでのメリット
大体の合格者が勉強スタート段階で簿記2級以上の知識を持っていた事実から考察すると、合格へのポテンシャルが十分にあると見るのがポジティブな見方ですね。
また試験内容改定後の簿記2級だと連結まで勉強しているので、USCPAのFARの勉強をするに当たって結構なアドバンテージに繋がります。
受験資格について
出願州の選び方
出願州については今の自分にとって一番早く受験できる州を選ぶべし。
最近は必要単位数が少ないニューヨーク州への出願が人気。昔はメイン州とかアラスカ州が人気だったのに(苦笑)。
元々単位があれば別ですが、単位取得は結構面倒なプロセスであるので、勉強以外の余計な障害はできるだけ取り除くことをオススメします。単位取得試験もそう難しいものではないですが、準備に時間がかかるし勉強のペースも崩れやすくなります。
実際にはアメリカで開業するならともかく、日本で働く分にはどこの州で合格したかなんて誰も気にしません。
会計単位もビジネス単位もないのですが。。。
文学部卒業などで会計単位やビジネス単位を全く持ってなくても予備校で取得できます。
予備校を利用する大きなメリットです。大学生の場合は今いる大学でできる限り単位を取っておくといいですよ。
単位認定試験は難しいのか
予備校の単位認定試験は正直そこまで難しくありません。
予備校が提供する問題集をちゃんとやってたら楽勝です。ただ、早期合格を目指すと単位認定試験のタイミングと自分の勉強ペースがずれているため、認定試験の為にわざわざ準備するのがが面倒なんですよね。
単位認定試験は個人的にはもう2度とやりたくないことの一つです(苦笑)。
学習に関する質問
どのような人が多く学習しているのか
仕事をしながら勉強するのにちょうどいい資格という事もありやっぱり経理マンが一番多いです。
また、最近は大学生の間でもUSCPAの認知が広がってきている傾向にありますね。大学生の内にUSCPAを取るのは相当にコスパがいいです。
日本の会計士がダブルライセンスとしてUSCPAに挑戦するというケースは実は結構レアなケースです。
監査法人に勤める私の同じ部署で勤める同期(みんな日本の会計士ライセンス持ち)にはダブルライセンス持ちはまだ1人もいないです。アメリカに出向する人がその段階で取るような傾向にある雰囲気です。
受講前に簿記の基礎知識を持っている必要はあるか
あった方がいいに越したことはありません。当たり前の質問です。
上にも述べた通り合格者の約7割は勉強スタート時には既に簿記2級を持ってます。
急がば回れではないけど簿記3級や2級を取得してからUSCPAの過程に進んでも遅いことはないですし、最悪合格できずにドロップアウトをすることになってもそこまでに取得した資格は転職活動に生きてきますよ。
USCPAの合格率って思った程高くないです。取れなかった時のリスクも少しは考慮しておくべし。多くの人が科目合格の失効を経験しています。
通信講座でも合格できるか
全然余裕です。
通信講座の場合は勉強する場所を選ばないのが大きなメリット。そのメリットを上手く生かして効率的に合格することができますよ。
むしろ教室は限られているので、わざわざライブ授業を受けに行く方が非効率って言ってもいいかも。
予備校をつかうならどこがオススメか
USCPA界の三大予備校と言えば、アビタス、TAC、プロアクティブ。
それぞれに特徴があるので、全てを必ず比較して自分に合った予備校を選ぶべし。
それ以外の予備校は実績と言う点では弱いので選択肢から外しても全然OK。長い物には巻かれておきましょう。
なにはともあれまずはこの3校の中から選びましょう。
まとめ
本音ベースで回答したUSCPA(米国公認会計士)についてのよくある質問はいかがでしたか。
なかなか突っ込んで書いたので気持ちが萎えちゃう人もいたのではないでしょうか。
予備校も商売なのでそこそこ上手い言い方をして宣伝してますので全てを鵜呑みにすることなく、できれば実際にUSCPAを持っている人に聞いたりすると、自分に向いているかどうかやキャリアデザインとしてUSCPAを活用することが自分の人生にとってハッピーなものになるのかを見極めることができるでしょう。
予備校でも最近は監査法人に勤めるUSCPAを呼んで説明を受けるイベントを多く開催してます。
勉強前であっても参加可能なものも多いので始める前に参加されてみるといいかもしれません。監査法人の方が突っ込んだ内容であっても色々と教えてくれたりしますよ。
これを読んでもやってみようと思えるのなら、貴方の気持ちは本気です。合格を目指してガンガン突き進んで下さい。きっと貴方の未来は明るいです!